[vol.10]移住者の実践からつかむ地域のファンの拡げ方 ~関係人口の先にあるものとは?

 

登壇者の畠山信さん

東北の食材を提供するトレジオンの店舗にて

 

本イベントのメインゲストとしてお迎えするのは、2016年に福島県福島市に移住した三廻部麻衣さん。福島市の観光情報を発信する仕事に携わりながら、東北・地域のファンづくりを掲げるTregion株式会社で、飲食店での東北の食材の提供などを通じたPR活動を続けています。他地域からは、秋田県南秋田郡五城目町に移住した、ハバタク株式会社の代表取締役・丑田俊輔さんをお迎えします。イベントの開催にあたって、それぞれの移住の経緯や現在の活動内容についてお伺いしました。


民間企業から復興庁、そして福島市へ移住。地域と関わることを手助けしたい

――福島県に移住したきっかけを教えてください。

 

三廻部麻衣氏(以下、三廻部):東日本大震災が起きたときは、アパレル関連を扱う民間企業に勤め、衣料量販店で店長をやっていました。東北には縁やゆかりはなかったのですが、あの出来事に関わらないという選択肢がありませんでした。会社に残るという選択もありましたが、仕事としてど真ん中で関わりたいという思いで退職を決意。その後は、2014~2016年に復興庁で期間業務職員として働き、2016年5月に福島市に移住しました。

 

――アパレル関連から復興庁という選択が思い切っていますね。

 

三廻部:面接のときに「あなたが今までやってきた仕事と本当に違うけど、大丈夫?」と聞かれました(笑)。

 

もともと東北に行こうとは決めていましたが、東北のことを全然知らないし、専門知識もありません。いきなり行って力になれるだろうかと考え、勉強のために復興庁でお世話になった形です。

 

――福島市に移住することに不安はありませんでしたか?

 

三廻部:復興庁に転職したタイミングから、次の転職へ向けた活動も始めていました。東北で働きたい人のためのプラットフォームで福島での仕事を探して、ちょうどよいタイミングで見つかったんです。仕事を見つけてから移住したので、仕事に関する心配はありませんでした。


三廻部麻衣さん(左)トレジオンにて東北・地域のファンづくりを担う


――現在の活動内容を教えてください。

 

三廻部:もともとはふくしま連携復興センターで仕事をするために移住し、現在はTregion(トレジオン)株式会社のPR事業部にいます。トレジオンは東北の食材を使った飲食店を、東京に2店舗、仙台に1店舗、盛岡に2店舗、出店している会社です。

 

トレジオンの仕事もしつつ、最近は福島市の観光Webメディア「福島市観光ノート」の編集にも携わっています。

 

また、フルーツ王国・福島の強みをいかして、夜の果樹園をライトアップして観光客に来てもらおうという新しいコンテンツづくり(夜の果樹園実行委員会)に、今年から参画しています。先週はずっと果樹園にいました!

 

――今後に関して、どんなことを思い描いていますか?

 

三廻部:来年は震災から10年ですよね。福島に住んでいると日々たしかな変化を感じますが、復興の道のりとしてはまだまだこれからな部分もあります。今の時点では住み続けたいと思っていますが、どのようなかたちであれ福島(東北)にずっとかかわり続けるということは決めています。

 

今も被災地に関わりたくても関わることができていないという人は多いと思いますが、自分の暮らしがあるなかでそれは悪いことではありません。それでも、何かしたいと思っている人がたくさんいるということには応えたいです。

 

例えば、ただトレジオンに来て、楽しく飲んでくれるだけでもいいんです。それぞれの日常のなかで東北に関わってもらえたらなと思っていますし、その提案をこちらからどんどんしていきたいと思っています。

 

――特にどんな人にイベントに参加してほしいですか?

 

今年は朝ドラの影響もあって、福島と愛知県豊橋市とが繋がるようなイベントをオンラインでやってきました。距離の離れた地域同士もさまざまなテーマでコラボできると思うので、何か地域に関わっている方であれば、どこでも繋がっていけるかと思います。

 

とはいえ、地域への関わり方が分からないという人ほど、力になりたいなとも思います。「地域に関わる」ってよく聞くけど、難しいですよね。それを福島に住んでいるからこそ伝えられたらいいなと思います。


ローカルとローカルが繋がっていくことでコミュニティを豊かに

――丑田さんは、いつ秋田県の五城目町に移住したのですか?

 

丑田俊輔氏(以下、丑田):2014年に移りました。今は廃校を活用したシェアオフィスに入居しています。

 


ハバタク株式会社の代表取締役・丑田俊輔さん

――最近の活動内容を教えてください。

 

「ハバタク」という会社は学びを通じて、新たな未来を創出することを目的とした会社です。「町の教育環境をおもしろくしていきたい」と、五城目町にある小学校の総合学習で地域の大学と連携してグローカル(グローバルとローカルを掛け合わせた造語)な授業づくりをしたり、そこから発展して、統廃合で1校になった小学校の建て替えを地域住民参加型で行う支援を行ったりしています。3年間のワークショップで建設して、まもなく完成予定です。

 

「越える学校」というスローガンで、地域内外に開かれた公立小学校を地域住民主体でつくっていこうとしています。来年度以降、転入や転校届けが不要で二拠点教育ができるような環境づくりも進んでいきそうです。

 

また、「シェアビレッジ」という、古民家を村に見立てて、年貢を払った村民でシェアする共創型コミュニティづくりや、地域の贈与経済をベースに、まちの遊休不動産を遊び場化する「ただのあそび場」といった活動もしています。

 

雑多な人間ですね(笑)。最近は、釣りと焚火ばかりしています(笑)。


古民家にてシェアビレッジ・プロジェクトを進める

 ――特にどんな人にイベントに参加してほしいですか?

 

丑田:村をつくりたい人が増えたらいいですね。地域には遊休資産が眠っているので、そういったものを自分なりに編集して仲間を見つけて自治していくような、ローカル・コモンズをシェアしていくような営みがもっと増えていったらいいなと思っています。

 

震災をきっかけに、東北にいろいろな人が関与してきました。それが、新型コロナウイルスの出現を経て、また違った視点で東北や地方に興味を持っている人が増えてきているという肌感覚があります。そういった方たちにぜひ参加してほしいし、実際に東北の広大な大地を舞台に小さなアクションを起こす人が増えたらさらに楽しくなりそうです。

 

それぞれの場所でそれぞれの在り方が生まれて、自分のコミュニティと他のコミュニティが繋がっていくことで、お互いに学び合い、結果的に豊かな社会が生まれていくのだと思います。

 

オンラインイベントは、10月30日(木)19:00から開催です。皆様のご参加をお待ちしております。


テキスト:泉友果子