[vol.11]被災経験を次世代に繋ぐ 〜防災の専門学科のある宮城県多賀城高等学校と兵庫県立舞子高等学校

登壇者の畠山信さん

宮城県多賀城高等学校 災害科学科の活動

 

防災の専門学科が設けられているのは、日本で2校のみ。阪神・淡路大震災を経験した兵庫県で設立された兵庫県立舞子高等学校の環境防災科と、東日本大震災の被災地域である宮城県で設立された宮城県多賀城高等学校の災害科学科です。イベントではゲストに多賀城高等学校 教頭の小野敬弘先生、兵庫県立舞子高等学校 環境防災科長の桝田順子先生、そして兵庫県社会福祉協議会 ひょうごボランタリープラザの所長である高橋守雄さんをお迎えして、専門学科が立ち上がった経緯や現状をお話いただきます。事前に両校の交流やひょうごボランタリープラザの役割、イベント参加者へのメッセージを伺いました。


日本で2校。防災専門学科を支える被災地の繋がり

――皆様の活動について教えてください。

 

小野敬弘先生(以下、小野):多賀城高校 教頭の小野と申します。14年間多賀城高校に勤めたあと2年間離れ、今年また赴任しました。以前に赴任していた2015年に災害科学科の立ち上げに関わったので、設立の経緯や現在の取組をお話できればと思います。

 

桝田順子先生(以下、桝田):舞子高校で環境防災科の科長をしております、桝田と申します。環境防災課は阪神・淡路大震災後の2002年に設置された、日本で初めての防災を専門に学ぶ学科です。今年は19期生が入ってきて学んでいます。


兵庫県立舞子高校 環境防災科の桝田順子先生

防災集団移転地あおい地区(宮城県東松島市)との交流


全国でも初めての試みだったので、外部の専門家やボランティアの方にお世話になりながら、学科も生徒も教員も成長させてもらってきた経緯があります。特に東日本大震災の時には、ひょうごボランタリープラザの方にもお世話になり、たくさんの生徒や教員が宮城県に伺わせていただくことになりました。

 

宮城の方々とご縁をつないでいただいたおかげで、多賀城高校で災害科学科が立ち上がる時にもやりとりを続け、その後も夏が来るたびに訪問し生徒さんたちに街歩きを案内してもらったり、全国防災ジュニアリーダー会議でともに学んだり、生徒たちが育っています。

 

高橋守雄さん:私は阪神淡路大震災が起きた当日からちょうど県庁で広報課にいまして、災害対策本部の報道担当をしていたました。今はひょうごボランタリープラザの職員になって16年です。ひょうごボランタリープラザは、災害ボランティアの支援拠点として兵庫県が設置しました。兵庫県の若いボランティアが全国の被災地に行くのを後押しするために、助成金などの制度を作っています。


兵庫県社会福祉協議会 ひょうごボランタリープラザの所長・高橋守雄さん

東日本大震災の被災地にもボランティアを派遣


舞子高校には東日本大震災の時に、兵庫県で初めて現地に行ってもらいました。その後、兵庫県内の高校生や大学生が、舞子高校に引っ張られるかたちで東日本大震災や熊本地震、西日本豪雨(平成30年7月豪雨)の被災地に行っています。その若い人たちが行動できるように、行政と連携して支える人を支える制度を作っている組織です

 


東北の被災地でボランティアをする舞子高校の生徒

震災が起きてから9年半で、兵庫県からはバスを600台出しています。年間4000万円のバス代を確保しているのは全国に類を見ないと思いますが、「若い人たちにすそ野を広げたい、ボランティアに行ってほしい、被災地を助けてほしい」という一心です。


学生などのボランティアからも賛同・協力を得ながら、遠隔地の交通費・宿泊費の本人負担軽減制度となる

「災害ボランティア割引制度」の実現を目指すひょうごボランタリープラザ

 ――多賀城高校で災害科学科を設立する際は、舞子高校にも行かれたのですか?

 

小野:ええ、私も一度伺いました。本校独自の科目を作る際に、舞子高校を参考にさせていただいて感謝しています。テキストをいただけないかという無理なお願いをしたのですが、出し惜しみなく提供いただきました。

 

他の普通科の学校でも防災教育をやりたいということがあれば、アドバイスをさせていただいています。舞子高校から恩を受けましたので、我々も出し惜しみなくお答えしております。


震災の記憶がない世代にどう継承するか

 ――次に入ってくる高校生は東日本大震災時に小学生ということで、語り継ぎというのは大事なポイントになってきますよね。

 

小野:研修としては、2年生が宮城県「気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館」に行って話を聞きました。

 

また、宮城県多賀城市内もかなり被災したことから、街歩きという活動をしています。震災の翌年、在校生が電柱に「ここまで波がきた」という印を貼る活動をしていたのを、学校のオフィシャルの活動にして代々受け継いでいます。


市内の電柱を多賀城高校の生徒がメンテナンス

新しい生徒がどんどん入ってきて、今の1年生が被災したのは小学校1年生の時です。ということは、そろそろ震災の記憶がない世代になってきます。そういう子たちにどう伝えていくかということで、市内に120本くらいある電柱をメンテナンスしてもらおうかなと思っています。

 

――舞子高校でもその街歩きをいっしょにしているのですか?

 

桝田:はい、多賀城高校の生徒さんも入れ替わりますし、本校の生徒も入れ替わっていくので、続けていくことで毎回新しい出会いがあり、単なる説明だけでなく歩きながら語り合うんです。自分たちは何ができるのかというヒントをもらっています。

 

――特にどんな人にイベントに参加してほしいですか?

 

小野:防災教育をどのように学校での学びに落としこもうかと悩んでいる普通科の学校が多く、本校に視察にいらっしゃいます。イベント時にさわりだけでもご紹介できればと思いますが、そういう学校があれば少しでも参考になればと思います。

 

桝田:小野先生がおっしゃったように、今から防災をやろうという学校はもちろんですが、すでに地道に活動されている学校も増えています。今年は新型コロナウイルス感染症の影響で、活動の縮小について悩んでいらっしゃると思うんです。こんな時期だからこそ、「こんなことをやってみたいな」と繋がれたらと思います。

 

オンラインイベントは、11月12日(木)19:00から開催です。皆様のご参加をお待ちしております。


テキスト:泉友果子