【Vol.2】IT人材育成で切り拓く地域の新しい未来の作り方

本イベントでは、宮城県石巻市から古山隆幸さん、そして長崎県南島原市から神崎健輔さんをお迎えして、地域でのIT人材の育成について考えます。事前にお二人の活動内容や展望をうかがいました。

 


若者が「町がつまらない」と言うのは、大人の責任だ

 

ーーお二人の活動内容と近況を教えてください。

 

古山隆幸氏(以下、古山):イトナブの古山と申します。東京で働いたあと、震災があってから出身地である石巻に戻ってきました。当時から地方部は仕事が固定化されているというか、選択肢が少ないので、若者が離れていってしまうという状況を感じていました。そういう自分自身も、「やりたいことが見つからない。石巻はつまらない」と思っていた若者の一人だったんです。

 

大人になってみて、若者が「町がつまらない」と言うのは、大人の責任だなと。昔から町にはおもしろいところもあったのに、それをちゃんと伝えられない大人が「なんで町はこんなにおもしろいのに若者たちは離れていくのか」「若者たちももっといろいろ考えて町に出てくればいいのに」と言っているのに対して、ちょっと違うんじゃないかなと思いはじめて。そこから、自分たちが若者たちに近づきながらおもしろい町作りをするのが重要なのではないかと思い、イトナブを立ち上げました。

 

私は特に、プログラミング・ITというような技術を若者に提供しています。都市部でも地方部でも、今これだけ情報に触れられる時代なのに、なぜいまだにこんなにも教育の格差があるのかということを疑問に思っていて。どの地域にいても同じような教育を受けられる環境を整えれば、日本はもっとよい国になるんじゃないかなと。

 

石巻出身ということもあって活動の中心は石巻ですが、今は10ほどの地域(宮城県仙台市や岩手県滝沢市など)で活動しています。昨年は約400人の若者にプログラミングを教えました。最近では、小学生向けのプログラミングの教室をフランチャイズ化しています。プログラミングの塾って最初の導入費が多いと100万円かかることもあります。都市部ではそれでもビジネスになりますが、地方部だと難しいんですよね。でも若者はいる。なので、地方部に対しても、低価格でイトナブのノウハウを提供できる環境ができればなと。7月にリリースし始めて、まず東北地方から広めていこうとしているところです。

 

ほかに、今取り組み始めているのが地産地消。新型コロナウイルスの影響で物流は止まらなかったものの、もし物流が止まってしまったら各地域ごとに生きていかなければいけなくなる。そのような未来を考えた時に、地域の食材を流通させる流路って実はないなと。今の若い世代は近所付き合いが少なくなってきていることもあり、結局行くのはスーパーなんです。

 

ですが、魚も野菜も農協まで卸さずとも道の駅に卸して終わりみたいな生産者の方もいるんです。ことも 。それをもう少し、地産地消で回す仕組みができないのかなと。今、実証実験を含め、地元のデリバリー業者と連動しながら、「今日採れたものを今日食べよう」というプロジェクトを動かし始めているところです。

 


地域を巻き込みながら、みんなでITを強く

 

ーーありがとうございます。神崎さんはいかがですか?

 

神崎健輔氏(以下、神崎):私の場合は、もともと実家がクリーニング屋さんで、サービス産業の方から独学でプログラミングをやり始めたので、逆パターンのような感じですね。

 

日本アンドロイドの会の島原支部を立ち上げたり、南島原市IoT推進コンソーシアムの会長に就任したりしています。こういったコミュニティに参加しているのは、もともとサービス産業に関しては強いものの、プログラム的なところは右も左もわからなかったという状況だったからです。勉強のためにいろんなコミュニティに突っ込んでいったり、自らコミュニティを作ったりしたことで、外部との繋がりを作りつつ、自分のスキルアップや成長にもなりました。また、自分が得た知識を他の産業の人達にも教えることで、地域を巻き込みながら、みんなでITを強くしていこうという動きを、今実践している最中です。

 

最近だと農業IoTにも首を突っ込み始めています。アスパラガスの新規就農者を南島原市で増やそうという事業を始めたんです。それに際して、アスパラガスを育てること自体も難しいんですけど、農協にアスパラガスを納めるためには選別をしなければいけないと。しかし、アスパラガスの選別は素人目では全くわからない。それをAIで判別したらどうかという相談を受け、最近は夜な夜なアスパラガスを見分けるためのAIを開発しています。

 

これがもしうまくいくようであれば、今度何ができるようになるか。新型コロナウイルスの影響で、必要な物はネットで買うか、もしくは無人の店があるといいという声を聞きます。そうなると、クリーニング屋さんも無人化というチャレンジができるかもしれない。AIでアスパラガスが読み取れるなら、洋服の種類くらい見分けられるようになるのではと。うまくいけば、地域や他の産業にも広められるかもしれません。

 

 

ーーお互いに聞いてみたいことはありますか?

 

古山:プログラミングは独学ということですが、何年目くらいですか?

 

神崎:今5年目に入ってきたくらいです。基本的には朝から昼過ぎまでクリーニングの仕事をこなし、夕方までウェブプログラマーの仕事をし、最近だと夜にアスパラガスのAI開発に向き合っています。

 

古山:さっき見たら多分同じ81年組なんですよ。

 

神崎:そうか、同い年!

 

ーー同い年なんですね。イベントでこういう人達に話を聞いてもらいたいというのはありますか?

 

古山:今、イトナブのヴィレッジ化をしようと思っています。来年はちょうど震災10年目ということもあり、事務所を建てるんです。ゆくゆくは何棟か建てて、村みたいにしようと計画しています。

 

働く場所についても考えています。石巻の若者が東京にあるIT企業に就職しながら、石巻で働くことができないか。イトナブの事務所で一緒に働いてもらって、なおかつ技術サポートとかコミュニティとかのサポートをする。地元にわざわざ拠点がなくても、ITの人達が集まる場所があるという環境を作りたいなと。それに興味を持つ人にも話をできたらなと思っています。

 

 

お二人に登壇いただくオンラインイベントは7/16(木) 19:00から開催です。皆様のご参加お待ちしております。


テキスト:泉友果子