【Vol.3】森林(もり)から描くローカルイノベーション ~地場産業の進化と地域再興

本イベントでは、岩手県下閉伊郡岩泉町から株式会社岩泉フォレストマーケティングの松永充信さん、そして滋賀県東近江市箕川町からクミノ工房の井上慎也さんと、地域の資源、産業に携わりながら新しいビジネスやプロダクトを生み出しているお二人をお迎えします。事前に、お二人が現在の仕事に携わるきっかけなどをうかがいました。


岩泉町の材料に魅せられて

 

ーー松永さんは、何をきっかけに移住したんですか?

 

松永充信氏(以下、松永):移住したのは、2016年4月です。岩泉町が復興支援員制度を利用して、地域振興や産業振興のための人材募集をしていたことがきっかけになりました。

 

冷やかし程度にと言ったら失礼かもしれませんが、ふと移住イベント(日本全国!地域人仕掛け市)に行ったんです。そこでは各自治体のブースに行くわけですが、行きたかったブースが満杯で。隣の岩泉町のブースがぽつんとあいていたので、腰掛けてみました。私はずっとコンサルやメーカー側で購買物流をやっていた関係で、いろいろな材料に触れる機会があったんですよ。岩泉町のブースで「こんな材料があるよ」と見せられたものに魅せられてしまった。そして気が付いたら現場まで行って、気が付いたら移住までしていたんです。

 

ーーオンラインイベントはどんな方に参加してほしいですか?

 

松永:たぶん、今回のようなイベントに参加される方は「東北」「復興」「木材」「SDGs」などのキーワードについて、すでに興味関心がある人なのかなと思います。井上さんと私の話が少しでも参考になったり、こちらも素晴らしいアイデアが頂けるのかと期待しています。

 

一方で、キーワードについて現在はあまり関心がないようなまっさらな人にも、参加してほしいと思っています。私自身「自分がどこか地方に行くとしたら」と考えて、最初に行きたかった地域は瀬戸内なんです。寒いところは嫌でした。数学が好きでしたが、理系に進むと必修科目に大嫌いな生物(特に植物の分野がダメだった)があったので文系に進みました。けれども結果、なぜか東北の山奥にいて、木材を取り扱っています(笑)。

 

「メインに考えている分野とは本当はちょっと違うけど、たまには他のことも聞いてみようかな」くらいの感覚で参加してもらい、何か皆さんに引っかかったものがあったら聞いてみたいと思いました。何かしらでつながる、引っかかるところがあって、お互いのそうした発見や積み重ねが「次」を創っていくと思うので楽しみです。

 

 


「これは違うぞ」から、森に携わるまで

 

ーー井上さんはエンジニアを辞めて、なぜ今の仕事を?

 

井上慎也氏(以下、井上):箕川町に工房を構えて事業を始めたのが、2016年5月末です。以前はシステムエンジニアをやっていたのですが、38歳のときに仕事を辞めて、「森に関わる、木を扱う仕事をしよう」と思って、職業訓練校の大工コースに1年間行きました。

 

もともと、滋賀県立大学環境科学部で森林生態学を専攻していたんです。

 

ーーでは、IT関連の仕事をして、戻ってきたかたちなんですね。

 

井上:(卒業後は)システム会社に就職が決まったので、10年間は楽しく仕事をしました。でも、そのまま勤め続けた20年先が見通せてしまって……。「これは違うぞ」と思ってしまったんです。

 

地元の森林組合に勤めている、大学のゼミの同期がいます。会社を辞める前にときどき会って話をするようになったんですけど、森の話をしているのがすごくうらやましかった。それで、森にかかわる仕事、木を使う仕事がしたいという思いは強くなることになりました。

 

私が30歳の頃に父が亡くなって、「いつかやろうと思っても、どこかでやろうと決めないとできないだろうな」と気づいたんですよね。それを思い出して、自分のやりたい方に舵を切ってみようと思いました。

 

ーーオンラインイベントはどんな方に参加してほしいですか?

 

井上:かつて新しいことを始めたいと思いながら、なかなか機会の訪れなかった自分のような人にも参加してほしいです。

 

「会社で何年か仕事をして、一通りのことができるようになって、生活ができるようになって、将来が見渡せるようになって、でも、何か物足りない。自分の価値観に沿うところで、社会に何か残したい。思い切り深く取り組みたい。後世に何かを贈りたい。誰かに何かを提供されるのではなく、自分が誰かに何かを提供したい」

 

そんな気持ちのある人に、一歩を踏み出したくなるような気持ちが届けばよいなと思います。そういう人には、勇気を出すときがいつか巡ってきます。いつかわかりませんが。そのときには勇気を出して飛び込むと、広い世界が広がっています。

 

そこで取り組んだ様々なことや自分の体験は、ちゃんと重みと密度のある価値になって、本来の意味で未来を創る力になります。それが復興ということではないかと思っています。


 

お二人に登壇いただくオンラインイベントは7/29(水) 19:00から開催です。皆様のご参加お待ちしております。


テキスト:泉友果子