[vol.5]東日本大震災を伝える「みちのく震録伝」〜日本の未来に伝えたいあなたの記憶は?〜

本イベントでは東日本大震災など既に起こった災害や、今後起きる災害の記億をいかに未来に伝えるかについて考えます。東日本大震災のアーカイブづくりに尽力されている東北大学 災害科学国際研究所の柴山明寛先生と、東海地震への備えと向き合う静岡県交通基盤部建設支援局の杉本直也さんと同じく静岡県にある株式会社正治組の大矢洋平さんに最近の活動についてお話を伺いました。


「伝承」や「教訓」のためのアーカイブ

 

柴山氏(以下、柴山):私は実は静岡県の出身なんです。静岡には大きな地震が来るとずっと言われていたのでその意識が強く、地震の研究をしております。東日本大震災が発生してからはいろいろな経緯があって、アーカイブを手がけないかという話に。今は官民さまざまな約50団体がデジタルアーカイブをつくっていて、私はそれをまとめています。


震災以降の点群データ(立体データ)も取っています。壊れた建物や、だいぶ入れるようになったのですが、福島県の帰宅困難地域にある建物などが対象です。

 

現在の取り組みで多いのは伝承施設を作ることですね。大きいところでは、昨年岩手県陸前高田市にオープンした東日本大震災津波伝承館(https://iwate-tsunami-memorial.jp/)の監修をしています。

 

最近では昨年度発生した「台風19号」、今は「令和元年東日本台風」というのですが、そのアドバイスを重点的にやっています。委員会としては、2年前に北海道胆振東部地震があった厚真町や、福島県大熊町のアーカイブに携わることも。

 

海外との連携も多く、インドネシアのアチェやハワイとは、東日本大震災の10周年の展示をこちら側の企画で展示してもらう調整をしているところです。


アメリカ・ハーバード大学とのワークショップ

 

東北には、東日本大震災のことを外に発信したいという方が多いんです。なぜかというと、皆さんに支援をいただいた恩があるので、それをなんとか「伝承」や「教訓」という形にして返そうとしています。

 


明日起こるかもしれない災害のためにデータをとる

 

杉本氏(以下、杉本):柴山先生のお話と親和性を感じました。震災遺構を残しておくという取組はすごく大事な一方で、たとえば震災当時も、乗り上げた船を残しておくかどうかという議論があったと思います。けれども、それを見ると記憶がフラッシュバックしてしまう方もいる。そういう意味で、デジタルアーカイブしておく意義を感じています。

 

静岡県では震災が起こる前のデータを保管しています。且つ、誰でもアクセスできるオープンデータに価値を感じています。(震災は)明日起こるかもしれないということを根底に、土木屋として災害復旧の迅速化が使命としてあるんです。

 

柴山:東日本では災害が起こる前に情報をとっていなかったので、その点で静岡県の取組はいいなと思います。(東北では)自分がどこに住んでいたのかが分からなくなってしまって、すごく悲しい思いをしている人たちがいます。もし災害が起きても記憶を思い出すことができるので、今データをとっておくことは重要な取組だと思っています。


インフラに携わる者として災害大国と向き合うには

 

大矢洋平氏(以下、大矢):静岡県伊豆の国市の、正治組という土木の会社で職員をしています。創業は60年ほどで社員が約20名、年間売上が5億円ほどの小さな会社です。

 

日本って災害大国って言われているんですね。日本の国土面積は世界の0.28パーセントなのに、世界で起きているマグニチュード6以上の地震の約2割が日本で起きているらしんですよ。僕らはインフラに携わる者として、災害に付き合わなくてはいけないのかなと思います。

 

昨年、台風19号が伊豆半島に直撃しました。水道管がふっとんで熱海市などが断水し、1万2000人に影響がありました。

 

このときの復旧工事で応援の要請があり、僕が対応に向かいました。点群データをとって必要なものを割り出して、復旧の計画をします。当初、復旧には10日程度かかると見られていたのですが、3次元モデルをつくったことで5日で復旧できました。でも、技術者としてはもっと早く復旧したかった。静岡県にもとからすべてのデータがあれば、1日でも半日でも断水の時間を短くできたのではないかなと。

 

杉本さんと施工側の私とで、静岡県をもっとよくしていきたいと思っています。

 

 

水道管復旧工事時に作成した点群データ

 

ーー今回のイベントでどんな分野の人と特に繋がりたいですか?

 

柴山:どんな人もウェルカムです。いろいろな人と繋がるのはありがたいことだと思います。東北大学のポリシーでもあるように「門戸は広い」ので。

 

杉本:誰でもウェルカムです。あえていうなら、ゲーム業界の人と繋がってみたいです。点群の処理などの分野でゲームでは早くないといけないと思うのですが、我々には知見がないので。建設業界とゲーム業界のコラボって重要じゃないかなと思っています。

 

大矢:僕も誰でもウェルカムですが、最近スタートアップの人たちと仕事をすることが多くて。スタートアップの人ってとんでもない技術を持っている人が多いんですよ。土木って専門的すぎて、現場のニーズがスタートアップの人たちに届いていないのが現状なんですね。ニーズさえ伝わればクリアできることっていっぱいあるなと思っているので、特にIT系のスタートアップの人たちと会えたらおもしろいですね。

 

 

 

オンラインイベントは、8月27日(木)19:00から開催です。皆様のご参加をお待ちしております。


テキスト:泉友果子