[vol.7]地域に根差す災害ボランティアの継続力 ~学生団体の活躍に学ぶ震災10年目へのバトン

登壇者の畠山信さん

福島大学ボランティアセンターによるコミュニティ支援活動

本イベントのメインゲストとしてお迎えするのは、学生団体の「福島大学ボランティアセンター」で活動する竹内瑛祐さんと前田悠さん。同団体は震災当時から現在に至るまで、学生主体で復興のための活動を継続し、その範囲を広げています。他地域からのゲストには同じく学生団体の「高知大学防災すけっと隊」の鈴木嵩大さんを迎え、南海地震に対する備えへの意識が高い高知県での活動についてお聞きします。


学生による「いるだけ支援」がコミュニティに活気を生む

 

ーー竹内さんが所属する「福島大学災害ボランティアセンター」は、どのような団体ですか?

 

竹内瑛祐さん(以下、竹内):福島大学災害ボランティアセンターは、2011年5月11日に設立されました。福島大学は震災後に避難所になっていたのですが、避難所運営をしていた当時学生だった先輩方が、避難所の運営を継続的に行っていくこと、そして避難所の運営が終わったあとも自分たちが動くことが必要だろうと考えたのが設立のきっかけでした。

 

福島大学という名前がついていますが大学からは独立しており、学生が運営する団体です。

学生の登録者(毎年度更新制)は毎年200~300名ほど。今年はまだ登録メンバーが少なくて、100名くらいです。総務担当や資金管理運用担当などの運営マネージャーが20名ほどいて、それを統括するジェネラルマネージャーがいます。

 

ーー学生主体で運営をしているのですね。どのような活動をしているのですか?

 

震災直後は津波被災現場での作業もしていましたし、住民の皆さんが仮設住宅に移られたあとには、仮設住宅でコミュニティ支援の活動をしていました。そのなかで復興庁の「心の復興」事業に採択していただいたのが「いるだけ支援」で、平成27年6月から平成30年4月まで福島市内で実施していました。

 

仮設住宅に学生が実際に居住して、「いるだけ」という活動です。学生がいるだけで仮設住宅がにぎやかになって、住民の皆さんの心も安らぐという支援をしていました。せっかく仮設住宅に人が集まってきたのに転居で空室が目立ってきたり、日中は若者の声がしなかったりして寂しい雰囲気だったところに学生が入ったんです。「電球を変えてくれ」というような些細なことにも耳を傾け、住民の皆さんが助かっていたという話もあります。

 

今は「いるだけ支援」は終了しているのですが、その時に掲げた「孤独死を絶対に起こさせない」という信念は続いています。


学生がコミュニティに入ることでにぎやかに

現在のメインの活動は、復興公営住宅でのコミュニティ支援です。お茶会や健康体操、足湯を行う「福茶サロン」を開いたり、花見や芋煮会、新年会といった季節の活動を行ったりしています。

 

避難解除地域での活動も進んでいます。田村市都路町地区は避難指示が解除されて住民の皆さんが戻ってきたのですが、高齢の方が中心なんです。そのなかに学生が入ることで賑わいを取り戻そうと、「学生DASH村」という活動をしています。古民家を拠点としてお借りして、一緒に農作物を作ったり、収穫祭をやったりして、地域の皆さんと交流しています。人はなかなか戻ってこないかもしれませんが、少しでも賑わいが取り戻せる活動を継続したいと考えています。

 

ーー震災から約10年が経つなかで、竹内さんや他の学生の皆さんはどういった動機で活動をしているのですか?

 

竹内:僕の場合は、縁があって福島県に来て、大学入学時に団体の話を聞いたことがきっかけです。単純に「楽しそうだな」と軽い気持ちで活動を始めたのですが、継続的に住民の皆さんと関わるなかで少しずつ関係性ができてきたことで活動を続けています。

 

学生の動機は年々変わっているようです。震災当時の先輩方は使命感が大きかったと思うので、それを後輩として見てきた先輩方もそれを途切れさせてはいけないという気持ちがあったのではないでしょうか。僕のまわりは「経験してみよう」という学生が多いように思います。ただ、継続して携わってくれる人は以前よりは減ってきているというのは感じています。

 

ーー他県の人にどんなことを知ってほしいですか?

 

竹内:震災から時間が経って忘れてしまっている面もあると思いますし、一方で、近年は全国で災害が目立つので意識している人もいるかもしれません。被災地では今も現在進行形の課題があるということは、ぜひ知っていてもらいたいです。


南海地震に備えて防災力の向上を

ーー対して、鈴木さんが所属する「高知大学防災すけっと隊」は防災という観点から活動をしています。活動内容を教えてください。

 

鈴木嵩大さん(以下、鈴木):高知大学防災すけっと隊の設立は2008年です。高知県は南海地震が来るといわれているので、それに備えて防災力を向上させるための防災啓発活動に取り組んでいます。現在活動しているのは約40名です。

 

活動の対象となるのは子どもやお年寄りが多く、たとえば(新型コロナウイルスの影響で)今年はまだできていないのですが、設立当初から続けているのが小中学校や高校での防災授業です。高知県は「災害に備える」ことがメイン。県全体で防災意識が高く、小中学校では総合の時間に防災授業が行われています。その授業に呼んでいただいて、災害について説明をしたり、「非常用持ち出し袋のなかには何を入れるのか」というようなワークショップを行ったりします。


防災啓発活動として授業に参加

 

「手軽に楽しんでもらえるように」と、ワークショップで使うグッズの開発も行っています。子どもに一番人気があるのが「防災お菓子ポーチ」です。材料はお菓子と布だけで、ポーチの中にアルミシートや懐中電灯を入れることができるつくりになっています。最近は水害が多いので、濡れても大丈夫なようにビニール製に改良しました。

 

また、防災をかけあわせた人生ゲームのようなものも作成しました。ゲーム時間は約40分。はじめに職業や給料が決まっていて、その給料で家具固定などの防災対策を進めていきます。すると、災害が発生して避難所生活という流れになるので、事前に備えておくと災害が発生したあとに役に立つということが疑似体験できるようになっています。


ゲームで防災を学んでいる様子

このゲームはすけっと隊がファシリテーターとして進行しているのですが、最終的には誰でも使えるようにしたいと思っているので、ホームページに掲載してダウンロードしてもらえるように、現在はルールブックの細かい修正などを行っています。

 

ーーユニークなコンテンツですね。皆さんでアイデアを出し合っているんですか?

 

人生ゲーム風のゲームを発案したのは2代前の先輩です。震災があったことで、全国的に「防災教育を学校でやったほうがいいんじゃないか」という気運が高まっていました。ただ、教える専門知識がある先生がいるわけではなく、教科書などの防災教育の教材があまりないという背景から、コンテンツの作成を始めたんです。

 

ーー今年度はどのような活動をしているのですか?

 

新型コロナウイルスの影響でオンラインでしか活動ができないということもあり、オンラインで防災授業や地域の方との関わりを継続できないかと模索中です。

 

今は、文字や話だけでは理解が難しい小さなお子さん(幼稚園から小学校低学年くらい)に災害について視覚的に理解してもらえるように、絵を用いた防災紙芝居の作成をオンラインで行っています。

 

オンラインイベントは、9月17日(木)19:00から開催です。皆様のご参加をお待ちしております。


テキスト:泉友果子