[vol.9]被災経験から生まれた防災ビジネス ~新しい備蓄食から私たちの食と防災を考える

登壇者の畠山信さん

5年半保存可能なゼリータイプの非常食「LIFE STOCK」

 

本イベントのメインゲストとしてお迎えするのは、宮城県多賀城市を拠点に活動する「株式会社ワンテーブル」の島田昌幸さんです。5年半の備蓄が可能なゼリー「LIFE STOCK」を軸に、防災と向き合っています。他地域からは、平成29年7月九州北部豪雨で被災した福岡県朝倉市で、エゴマを生産する「株式会社 アグリガーデンスクール&アカデミー」の農場長・高良寛さんをお迎えします。「株式会社ワンテーブル」の吉澤信介さん、イベント後半のパネルディスカッションにご参加いただく「株式会社 アグリガーデンスクール&アカデミー」の代表取締役社長である堂脇広一さんに、活動内容や課題を伺いました。


被災の経験から生まれた、誰でも食べられるゼリー

――活動内容を教えていただけますか。

 

吉澤信介さん(以下、吉澤):株式会社ワンテーブルの吉澤と申します。私は主にバックオフィスの仕事をしています。ワンテーブルは備蓄の防災ゼリーを主軸に活動しています。

 

今は行政が、避難所の運営や防災備蓄の倉庫の管理の仕方に課題を抱えながらも、防災対応を引き受けている状態です。行政のヒアリングをしながら、どういったところがビジネスになる余地があるのか、民間で防災産業を生み出していけるのかを探り、防災という広い領域で活動していきたいと進めております。


宮城県多賀城市に本社工場を構える株式会社ワンテーブル


――活動内容を教えていただけますか。

 

吉澤信介さん(以下、吉澤):株式会社ワンテーブルの吉澤と申します。私は主にバックオフィスの仕事をしています。ワンテーブルは備蓄の防災ゼリーを主軸に活動しています。

 

今は行政が、避難所の運営や防災備蓄の倉庫の管理の仕方に課題を抱えながらも、防災対応を引き受けている状態です。行政のヒアリングをしながら、どういったところがビジネスになる余地があるのか、民間で防災産業を生み出していけるのかを探り、防災という広い領域で活動していきたいと進めております。


コミュニティには多様性が大事

CSR活動でたくさんの企業の方々が集まったエゴマの植え付け

――アグリガーデンスクール&アカデミーはどういった活動をしているのですか?

 

堂脇広一さん(以下、堂脇):福岡県朝倉市の廃校跡地で、農業ビジネススクールをやっております。そもそもの目的は、地域に多様な人材を誘致すること、それによって新しいビジネスを生んでいく拠点になろうというものでした。

 

力を入れているのが、企業CSRです。企業の人たちに農業を手伝ってもらうことで、付加価値の高い商品を作ろうと。今は20社くらいが来ていて、生産されたエゴマが医療の世界で採用され始めています。付加価値の高い農産物を医療分野に送っていくことが、企業の力で徐々に広がりつつあります。

 

ここ何ヶ月かで、社会はオンライン化が急激に進みました。それに伴って、体に直結する農業や、免疫力を高めるような農産物のニーズが高まっています。

 

ウィズコロナの時代において生活や仕事のスタイル、あるいは地域活性化のスタイル、地方創生の新しいモデルづくりとして、IT化や農業にいろいろな人が関わるというのが進んでいくのだろうなと思っています。

 

――被災したことで見えた、現在の課題を教えてください。


そのための条件のひとつは多様性。自治会や町内会の人たちががんばって毎週お茶会をやっても、固定客化してつながりが広がらないという話もあります。コミュニティや繋がりは多様な形でつくっていくことが大事で、そのためには多様な団体や顔ぶれが集会所を使うことが必要だということを伝えながら、集会所の運営についてアドバイスしています。

 

外部の団体の利用を促進するために、パンフレットの制作も行っています。うまくいっている集会所ではほぼ毎日のように、高齢者のための活動や子どもたちの学習サークルが開催されています。復興支援ということだけじゃなくて、地域に貢献する活動がしたいという人たちにどんどん使ってもらおうとしています。活動を通じて居場所づくりを進めることで、孤立しない地域社会を実現したいと考えています。


被災直後の圃場の様子

昨年の圃場の様子


 堂脇:私はもともと、東京がベースなのですが、福岡県朝倉市に来たあとに被災しました。

 

地域の高齢化や過疎化が進んで農業が活気を失っていくなか、豪雨で被災をしたことでそれがさらに加速したように思います。エゴマに関しても、販路ができて広げようと思っても人手が足りなかったり、今まで違う農産品を生産してきた人が新しいものを手がけることに億劫になってしまったりということがあります。新しい価値を訴求できる農産品で、新しいマーケットを切り開きながら、周辺の農家がそれに乗っかる手伝いをすることが課題だと思っています。

 

今はテレワークやワーケーションという考え方もあるので、企業の人が仕事をしながら農業もすることで、地域の農家とうまくコラボして新しい世界を作り出すという段階にきています。

 

――これからどんなことに取り組みたいですか?

 

堂脇:この学校を作る前は農業コンサルをやって、全国を回っていました。その時の経験を通して、離れた地域同士のコラボレーションに取り組みたいですね。オンラインの時代では、きっとやりやすいと思います。

 

また、「健康」というテーマは、非常に重要だと思っています。

 

――備蓄品に関しても、健康を求められると安心ですね。

 

吉澤:今までの備蓄食はどうしてもカロリーベースというのが常識としてありました。災害時だからこそおいしいもの、健康的なものを食べるという考えはもっとあってよいと思います。

 

だからこそワンテーブルでは、食物繊維やビタミンなどを入れた「LIFE STOCK」を作り、今年は熱中症対策としてミネラルや塩分を入れて、真夏の災害に対応できる商品を作りました。健康的な食品や備蓄品が受け入れられて、当たり前になっていけたらよいと思っています。


他地域とのコラボレーションも

――今後、他所とのプロジェクトというのは?

 

吉澤:いろいろな連携が柔軟というのは、弊社の強みです。先日は徳島県の木頭村(現徳島県那賀郡那賀町)で、柚子の栽培をされている方と、柚子の果汁を充填するところからスタートしまして、ゆくゆくはゼリーにすることを考えています。どうしたら風味が落ちないかなどの知見をためていますので、地域の生産物・農産品を使った開発もやっていきたいと前向きに捉えています。


――イベントではどんな方と会いたいですか?

 

吉澤:日本には豊富な農産物がありますので、ゼリーや充填技術の領域を活用しながら、たくさんのものに出会っていけたらという思いがあります。いろいろな地方の方や、一次産業、地域での活動に力を入れている方たちに参加いただけたら刺激になりますし、ご意見を伺えたらと思います。

 

オンラインイベントは、10月15日(木)19:00から開催です。皆様のご参加をお待ちしております。


テキスト:泉友果子