[vol.14] 東松島SDGsと森の学校〜「ふるさと」の記憶を繋ぐ地域教育

~ 「ふるさと」は誰のもの?~

 東日本大震災で甚大な被害を受けた、宮城県東松島市。復興が進む東松島市でこれからの地域づくりを担っていくのは、その地に住む人だけでしょうか。震災後の地域づくりと関係人口について考えました。


 インプットトークの1人目は、東松島市産業部商工観光課の石垣亨さんが登壇しました。東松島市は東日本大震災以降、防災集団移転によって住宅街から、学校や駅などの施設までを移転し、新たな街づくりを行っています。石垣さんは「災害を機に、宮城県のなかの東松島市という感覚から、世界の都市のひとつという感覚になった」といいます。東松島市は「環境未来都市」のプロジェクトで、災害時に発生した震災がれきのリサイクルシステムの構築や、再生可能エネルギーに取り組んできました。その実績が評価されて、2018年度の「SDGs未来都市」に選定されています。

 

 石垣さんは最後に、街をつくる人々を「風土」にたとえ、「市内の人を土の人、市外の人を風の人として、二者が風土を織りなすことで持続可能な地域をつくる」と話しました。

 

東松島市 が2018年度の「SDGs未来都市」に選定 >>


 2人目の登壇者は、東松島市立宮野森小学校の教諭である成田智哉さん。宮野森小学校では「ふるさとを愛し考え広める児童の育成」のため、総合的な学習の時間に活動的に取り組んでいます。生活の授業で地域の自然に触れ、3年生は復興の森、4年生は海、5年生は山をテーマにし、6年生は児童が自分で課題設定をして深めるという内容です。例えば、地域の名産である牡蠣をチームごとにどのように調理するか考えて食べてみたり、同じく名産の海苔で染め物をしたり(このチームは失敗したが、それも良しとする)、セッコウを見に行ったりします。こうして地域への理解を深めた子どもたちは、中学生になったときに「将来、市内に残りたい」と答える数が比較的多いといいます。

 

 生徒・教諭ともに総合学習への意欲的な取り組みが見られる一方で、学校の課題としては震災後の心のケアが必要な児童がいることや、教員の働き方を挙げました。

 


 

 


 アイデアワークでは、「『ふるさと』の記憶を繋ぐ、未来を担う」と題し、それぞれの「ふるさと」の自慢を述べあいながら、「ふるさと」との関わり方に多様性を生む方法をグループごとに話し合いました。あるグループは移住することは難しいと話した上で、移住しなくてもできることとして「田植えなどのイベントに参加する」「東北のお酒を買って応援する」といった案を発表しました。他のグループからは、「住んでいると意識できない良いところを、ほかの地域の人から評価されると『ふるさと』の価値が再確認できる」「その街のキーマンと繋がると、どんどん深く繋がっていく」というアイディアが共有されました。

 

 発表に対して「外から見た『ふるさと』って大切だなと感じた。今後の街づくりに生かしたいと」述べた」と石垣さん。成田さんは「『ふるさと』は生まれたところだけでなく、個人の感覚でよいと思う。子どもたちがどこでもやっていける力を身につけさせたい」と話し、イベントは閉幕しました。


テキスト:泉友果子