[vol.17] 「復興『ありがとう』ホストタウン」が切り拓く次世代国際交流

~ ホストタウン事業をきっかけに地域を活性化する~

 「ホストタウン」とは2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に参加する国・地域の住民などと交流する日本の自治体が、スポーツ・文化・経済といった分野での交流を図り、地域の活性化などに活かすことを目指した事業です。そのうち被災3県の自治体を「復興『ありがとう』ホストタウン」と制定し、交流にとどまらず、復興の過程を発信し、大会開催後も継続して交流することが期待されています。今回はホストタウンである岩手県釜石市と宮城県加美郡加美町からゲストを招いて、「ホストタウンのその後」について考えました。

 


 1人目の登壇者は、岩手県釜石市生涯学習文化スポーツ課の佐々木豊さん。ラグビーの町として知られる釜石市は、オーストラリアを相手国として「ホストタウン」になっています。震災当時にラグビーチームの釜石シーウェイブスに所属していた、オーストラリア出身のスコット・ファーディー選手がボランティア活動をしたことなどがきっかけです。

 

 2018年にはオーストラリアからファーディー選手を釜石市に招聘して交流事業を行っています。他にもオーストラリアと釜石市、双方の人が行き来し関係を深めています。このような交流を行えることで、子どもたちの視野を世界へと広げるきっかけに繋がっています。

 

釜石市「復興『ありがとう』ホストタウン>>

 


 2人目の登壇者は、宮城県加美郡加美町の町長である猪股洋文さんです。加美町は「音楽の町」として移住・定住の促進、「アウトドアランド」によって交流人口増加の推進に注力しています。音楽の町としては、37年前に建てたバッハホールを大きな資源だと捉えて自前のオーケストラをつくり、さらには国立音楽院を誘致しました。

 

 アウトドアとしては、モンベルのフレンドタウンとして登録されたり、自転車競技の開催地となったりした事例を紹介。復興「ありがとう」ホストタウンとしては、選手が使う施設 のバリアフリー化を進め、2019年にはチリからパラカヌー選手の事前合宿を受け入れました。自治体として今までどおりのことをやる「コンフォートゾーン」にとどまらず、新たなことにチャレンジする「ストレッチゾーン」に踏み出したいと話します。

 

宮城県 加美町 東京2020大会 チリ共和国パラリンピックホストタウン>>

 

復興「ありがとう」ホストタウンについて(首相官邸HP)>>

 


 ミニアイデアソンでは、「ホストタウン後の子どもたちの国際交流プログラムを考える」と題して、(1)今の取り組みから使えそうな素材(2)スポーツ×国際交流を通じた子どもたちの体験・経験の場(3)子どもたちにどんな成長機会が生まれるのか(4)東京から関われること・東京でできること、をグループごとに考えました。グループワークとプレゼンテーションは猪股さんの話にあった「ストレッチゾーン」を意識し、いつもより短い90秒での発表にチャレンジしました。

 

 釜石市のケースを考えたある班は、さらにラグビーを通して交流することを提案。「子どもをきっかけに長いスパンで交流をすることを考え、老若男女・国籍が混ざってできるラグビーを使ったスポーツイベントをする」と発表しました。加美町をテーマにしたある班は、音楽に注目。「空き家を活用して、楽器を使える民泊を営む」「国際アニメ音楽祭を行って、音楽を身近なものとして捉えてもらう」「バッハホールでの音楽祭をネット配信する」などといった、音楽の町としてさらに発展していくアイデアを発表しました。

 

発表に対して佐々木さんは「今ある(地域の)ツールを活かしながらやっていきたい」、猪俣さんは「今までやってこなかったことに取り組みたい」と話し、2つの町と東京の参加者につながりができた夜となりました。



テキスト:泉友果子