[vol.18] 100年続くぶどう生産から描く地域のブランドづくり

~ 歴史あるぶどうで山元町に人を呼ぶ~

 宮城県の最南端にある亘理郡山元町。いちごの町としてご存知の方は多いかもしれませんが、東北では古くからぶどう液(ジュース)を作ってきたことでも知られます。山元町から田所食品株式会社の田所大樹さん、亘理山元商工会の佐藤良一さんを迎え、葡萄をきっかけに山元町に人を呼べないかを考えました。

 


 登壇者の1人目は、ぶどう液の製造を中心に事業を行う田所食品の田所さんです。海沿いに位置する山元町は、震災で農地の95パーセントが水没しました。ぶどう園も津波により流出し、加工施設や作業所、自宅は全壊したといいます。

「設備は再建できても、ぶどうは苗木を植えてから5~7年でようやく実がなり、この地域のぶどうはそこから2~3年熟成させないとぶどう液として飲めないんです。現在8年が経ち、(店舗やネット販売を通じて)ようやく提供できる状況になりました。これからさらにどのようにするかを思案中です」と田所さん。


 そこで、新たな挑戦として始めたのがシャインマスカットの栽培です。参加者にはアンテナショップで販売しているシャインマスカットのスムージーが試飲として提供されました。



 こちらは山元町で採れた山ぶどうを2年半寝かせたぶどう液。甘さと酸味がほどよい口当たりです。

 今後の課題として、情報発信の仕方や過疎地域に指定されている山元町に人を呼べるかなどを挙げました。

 

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 2人目の登壇者は亘理山元商工会の佐藤さんです。亘理山元では、農家や民宿など多業種の連携を強味として活かした地域づくりに力を入れ、亘理町・山元町のYoutubeチャンネルやFacebookページをつくったり、それぞれの会社や団体などのウェブサイトをまとめたサイトを制作したりしています。田所食品を中心にストーリーをつくって、地域全体の魅力を伝えたいと話しました。

 

亘理山元商工会ホームページ>>

 

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 ミニアイデアソンでは、「田所食品とのコラボで人々を山元町に呼び込むには」というテーマで、グループごとに話し合いました。ある班はさまざまなツアーを考え、「高級ぶどう狩りツアー」「ぶどうの歴史を博物館で学ぶツアー」「ワインを作るツアー」「葡萄汁で染色体験をするツアー」などを発表。またいくつかのグループから「東京から仙台市内へと繋がる常磐線が復旧(2019年度末に全線運転再開予定)するので、PRにそれを使っては」という意見が出ました。ほかには「ぶどうに関するさまざまな体験ができるテーマパークを作る」「スムージーを東京の飲食店で扱う」といったアイデアも。

 発表に対して田所さんは「貴重な意見がたくさん出た。できることや今後の課題をふまえて、改めてやっていきたい」と、佐藤さんは「復興はもう終わったのではないかという意見も聞かれるが、現地では再建してもまだ苦しんでいる人がたくさんいる。真剣に考えてくれた意見に感動した」と話し、盛況のうちに閉幕しました。


テキスト:泉友果子