[vol.19] 広野町に「賑わい」と「生業」を取り戻す - みんなが集まる場所づくり「ちゃのまプロジェクト」の挑戦

 福島県双葉郡広野町が「東北に春を告げるまち」と呼ばれていることを知っていますか?温暖な気候に恵まれ、温州みかんが栽培できる北限の場所であるこの町は、震災時には全町避難となった地域でもあります。現在、復興を遂げつつある広野町。「町に人が集まる場を作りたい」と活動をしている、特定非営利活動法人 広野わいわいプロジェクトから青木裕介さんと大場美奈さんをお招きして、広野町で暮らす人々の憩いの場を作りつつ、地域外から人が訪れるためのアイデアを考えました。


 インプットトークの1人目の登壇者は、特定非営利活動法人 広野わいわいプロジェクトの青木さん。広野町の魅力や現状、広野わいわいプロジェクトの取り組みについて話しました。

 

 

 山と海に囲まれた自然豊かな広野町は、福島第一原発から南に23キロという位置にあり、2011年3月13日には全町避難へ。半年後に緊急時避難準備区域は解除になりましたが、戻っても生活ができる状態ではありませんでした。その後、ある程度まで復興は進み、現在はこれからのために活動をしている人が多くいます。その人々を支えるためにも、2016年に立ち上がったのが、広野わいわいプロジェクトです。

 

 まずは賑わいを取り戻そうと、パークフェスを開催。復興再生に向けては、首都圏の人たちとオーガニックコットンの生産をしたり、地域資源を使った6次化商品の開発として広野産の米粉を使ったビスコッティを作ったりしています。青木さんは、「震災前から暮らしている人、新たな移住者、交流人口を考えて、今までのコミュニケーションから変えていかなければいけないと思っている」とトークを締めくくりました。

 

広野わいわいプロジェクト>>


試食としてふるまわれた、広野町の米粉を使ったビスコッティ


広野町のイメージキャラクター、ひろぼー。童謡『とんぼのめがね』をイメージしたキャラクターがみかんのヘルメットをかぶっている。広野町はこの童謡発祥の地


 2人目の登壇者である同団体の大場さんは、広野わいわいプロジェクトが手がける「ちゃのまプロジェクト」について話をしました。大場さんは広野町を見ていて、「たくさん人がいるのに、気軽に集まれる場所がない」「原発作業員の人もたくさんいるけど、寝に帰ってきているだけになってしまっている」と気になったことから、人が集まれる拠点となる場所の必要性を感じたといいます。それがきっかけで「ちゃのまプロジェクト」をスタートし、町にリビングのようにリラックスできる場を設けて、マルシェを開催するほか、町民がいつでも利用できるようにカルチャーセンターの役割も担いたいと考えています。


 テーブルダイアログでは2人のインプットトークをもとに、「みんなが集まりたくなる『ちゃのま』を作るには?」をテーマにグループごとに話し合いました。あるグループは「『おれ』のおちゃのまプロジェクト」と題し、地域外の人も携われるオーナー制度のような仕組みを提案。例えばコットンなら、育てるところから洋服になるまでを見守るなど、長く付き合ってもらうことが狙いです。しかも、オーガニックコットンのオーナー制度は他の地域ではあまり見られないので、自然と広野町にしかないものとなります。他のグループからは「ちゃのま会員証を作る」「カーシェアリング、レンタサイクルなどがあれば首都圏からでも行きやすい」「町の魅力である星にフォーカスを当てたツアーを行う」といったアイデアが出ました。

 

 発表に対して大場さんは「都市部から持続的に関われるようなシステムや、目的があるイベントの開催をしていきたい。また明日からがんばろうという気力をもらった」と、青木さんは「自分たちが楽しまなくては。もっと広野町を知ってもらいたい」と参加者に話しました。


テキスト:泉友果子