[vol.2] 沿岸部の超高齢化を乗り切る健康コミュニティづくりへの挑戦

~ 高齢化が進む宮城県石巻市から健康づくりのコミュニティを考える ~

 宮城県石巻市では震災や人口流出をきっかけに高齢化が進み、要介護者の増加率が全国平均を上回っています。民間の力で健康づくりを支えられないかと活動している一般社団法人りぷらすの橋本大吾さんを迎え、健康づくりをするコミュニティについて考えました。


~ 石巻市で健康コミュニティが広がった理由とは ~

 石巻市で活動する理学療法士の橋本大吾さんは、りぷらすの事業を通じて健康のためのコミュニティづくりに貢献してきました。橋本さんがコミュニティに着目したのは、石巻市が全国平均より要介護者の増加率が高い土地でありながら、専門家が少ないことがひとつ。ならばと、自主的に体操をするコミュニティ(体操教室)を広げるためにコミュニティヘルス事業を始めます。

 

 お互いの健康を見守るようなコミュニティがあれば健康づくりに寄与しそうですが、体操教室を率いていく人がいないと続けるのは難しく、体操をするたびにプロを呼ぶというのもハードルがあります。そこで、「おたがいカラダづくりサポーター育成」として住民のなかから体操の先生を育成することで、自主的な体操の場を増やし、2014年から3000人を超える人々が体操に参加してきました。


~ 健康コミュニティをつくるためには? ~

 ワークショップでは、参加者の目線で健康コミュニティを考えてもらうためにグループごとに分かれてアイデアを出し合いました。りぷらすが提案するひとつの軸は体操ですが、ほかにも健康を目的にしたコミュニティを作る方法が考えられそうです。各グループでは 「健康で幸せにいるためにどんなコミュニティがあるとよいか」「コミュニティづくりに必要なアクションとは何か」を議論しました。「75歳になった自分を想像して…」など具体的で身近なテーマ設定もあり、参加者が自分事として考えることで、さまざまなアイデアが出てきました。

 

 出てきたアクションとして「学校やお寺を巻き込む」といった既存の場を活用するアイデアに加え、「ついつい行ってしまうコミュニティが街のなかに複数あるとよい」「世代間が交流できるように」「鉄道会社と提携してイベントを行う」などの意見も。また、位置情報ゲームアプリで散歩が増えたという事例も共有されました。


 宮城県石巻市で起きている高齢化ですが、日本のほとんどの地域でそれぞれ迫り来る問題でもあります。橋本さんは「りぷらすの活動は事業としても成長しており、補助金に頼らず収益を得られるようになってきた」「地方でつくった仕組みが都市やほかの地域にも広がれば」と話しました。石巻市での取り組みが、高齢化社会のひとつのモデルとなりそうです。


テキスト:泉友果子