[vol.20] 限界集落の災害対応から学ぶ地域づくり

令和元年台風第19号は、関東地方や甲信地方、東北地方を中心に甚大な被害をもたらしました。まだ完全復旧には至らない地域もあるなか、改めて防災を意識しているという人も少なくないでしょう。今回は宮城県と福島県の限界集落でそれぞれの目線から、地域づくりの活動をしているお二人を迎え、災害時の共助について考えました。

 


 1人目の登壇者は、一般社団法人筆甫地区振興連絡協議会の吉澤武志さんです。

 

 吉澤さんが暮らす宮城県伊具郡丸森町にある筆甫地区は、人口が533人で中学校や農協、保育所が廃止されたという、いわゆる限界集落です。昨年の大型台風では、道路の崩壊や土砂災害で地区が孤立。そのため、住民自らが道路を開通させたり、薬が足りていない人たちの情報を聞き取って配布したりと迅速に対応しました。

 

 筆甫地区では「自分たちができることは何でもやってみよう」という考え方が根付いていることが、災害時に対応ができた理由だと吉澤さんは話します。普段から猪を捕獲するために箱罠を設置したり、ガソリンスタンドを地域経営したりと、地域の暮らしを守るために行政の動きを待つのではなく、住民自らが行動を起こしているといいます。

 

 筆甫地区振興連絡協議会 | みやぎ連携復興センター(れんぷく)>>

 


 2人目の登壇者は、株式会社陽と人の小林味愛さんです。

 

 東京と福島県伊達郡国見町の二拠点で生活をする小林さんは、これまで廃棄されていた規格外品を価値として捉え直し、東京の店舗に直接卸したり、捨てられていた「柿の皮」から化粧品を作る等の事業を展開しています。

 

 地域での関係づくりとともに、取引先である店の人々とのコミュニケーションを日頃から密にとっていることで、台風の際にはいち早く東京の店で募金活動をしてくれたといいます。「災害時は現地でもどうしていいかなかなか分からないので、外で活動してくれたのがありがたかった」と小林さんは振り返りました。

 

株式会社陽と人 >>

 

フェミニンケアブランド『明日 わたしは柿の木にのぼる』>>

 


参加者へのおみやげとして、左から筆甫地区名産のへそ大根、国見町のりんごジュースとあんぽ柿


 ミニアイデアソンでは、自分たちの町で災害時に役立つ「地域での共助の取り組み」をグループごとに考えて発表しました。日常生活や明日からできることとして「近所の人を知る。関係を深める」「自治体のメールに登録したり、SNSで自治体をフォローしたりする」「スタンプラリー感覚でハザードマップ巡りをして、防災教育をする」といったアイデアが挙がったほか、「共助は自助の延長なのではないか」という意見がありました。

 

 発表に対して吉澤さんは「誰も取り残さないという観点から、自助をどれだけ広げるかが大事だと思いました」と、小林さんは「国見町では地域の方と直接コミュニケーションをとっていますが、東京にいるときは近所の人のことも知らないんですよね。まずは隣の人を知ることから始めたいと思います」と話しました。


テキスト:泉友果子