[vol.3]情報インフラで地域産業の未来の描き方を考える

~ データで見える新たな福島県相馬市。産業を活性化させるには ~

 原発避難区域からは外れていても、自主避難をしている人が多い福島県相馬市。震災を機に産業構造が変化したエリアです。そんな相馬市で事業所の実態調査を行い、データを集めている団体があります。「情報インフラで地域産業の未来の描き方を考える」と題し、復興支援センターMIRAIと一緒にデータの活用について考えました。


~ データから見えてきた新たな未来 ~

 復興支援センターMIRAIの押田一秀さんによると、相馬市は産業的に苦しい場所であるといいます。原発事故の避難地域から外れているために、相馬市での暮らしを続ける人が多く産業が必要な地域でありながら、自主避難で人口は流出しています。さらに、産業の中心であった漁業に関してはいまだに制限が。相馬市は新たな産業が必要な地域なのです。しかし、事業に関する正確なデータがなく、現在の産業の実態がつかみづらいという課題がありました。

 

 そこで復興支援センターMIRAIは、ボランティアとともに5年ほど前から市内を歩いてヒアリングを重ね、事業所の数や事業内容といったデータをとり始めました。データを集めてみて、押田さんは漁業が中心であった相馬市の産業が多様化していることに気付き、地域の将来に希望を感じたといいます。2017年にはデータをまとめた『相馬INDEX』を創刊し、翌年には教育現場でも使えるようにアップデート。これからはデータのアウトプットが課題だと話しました。


~ データを活用するためにできること ~

 ワークショップでは押田さんが課題に挙げた「アウトプット」について参加者が話し合い。「相馬市を活気づかせるためのデータ利活用を考える」をテーマに、グループごとに選んだ3つのサブテーマで意見を交わしました。

 

①データのデジタル化を担うIT人材を獲得するには?

・フリーランス人材に相馬市で週末だけでも暮らしてもらい、相馬市を知って発信してもらう

・データを国内、海外に向けてオープンに提供し、自由に分析してもらう。賞も与える

といった、新たな人材を市外にも求めるアイデアが共有されました。

 

②データづくりを継続できる仕組みとは?

データづくりを継続するためには、個人が継続できる環境が必要という意識から、

・人に動いてもらえるようなモチベーションづくりをする

・近くの事業所のデータを提供すればポイントがもらえる仕組みをつくる

・情報を集める人同士のコミュニティを強固にする

といったアイデアが出されました。

 

③オリジナルで収集したデータのユニークな使い道とは?

・大学にデータを公開して、教育の一貫で経済シミュレーションに役立ててもらう

といった案が発表されました。


 押田さんは「皆さんのアイデアに感謝しています。データを通じて、数字を構成しているのは住民それぞれの生活であると実感しました。データを使った街づくりを成功させたいと思います」と改めて意気込みを語りました。


テキスト:泉友果子