[vol.4]福島からはじまる「働き方改革」- コトづくりを通して若者が集まる農業へ

~ 農業の担い手の未来を考える。消費者が農業に携わる方法とは? ~

 最近では農業に携わらない人でも「農業の高齢化問題」「農業の6次化」といった言葉を耳にする機会が増えてきました。けれども、生産者の立場から見た農業について直接聞く機会はあまり多くないのではないでしょうか。今回は福島県から2人の生産者をお招きして、現場の声を聞きながら農業の未来について考えました。


~ 労働であるはずのことがイベントになった ~

 今回は、消費者が農業に関わる機会を多く提供している生産者の方が登壇しました。1人目は、福島県石川町で農業を営む大野栄峰さんが「イベントによる担い手不足の解決への挑戦」をテーマにトーク。大野さんは、震災後に家業である農業を継ぎました。果物を中心に生産し、ジャムやフルーツビールなど、果実加工商品による農業の6次化に力を入れています。さらに大野農園の特徴として挙げたのが、イベント運営です。農地を活用して、春には果物の花を見る花見バーベキュー、夏にはビアガーデン、秋には果物狩り、冬には剪定作業で落ちた枝を活用した焼きりんご体験を行っています。

 

 焼きりんご体験では消費者に枝を拾ってもらうことで、ふだん農業に携わらない人が農作業を体験できるだけでなく、生産者としては本来労働であるはずの枝拾いが短時間で終わる利点があったといいます。こうした加工品の販売やイベント開催で、消費者が農業に携われるだけではなく、農家が閑散期も収入を得られるようになります。他にも、アパレルブランドとのコラボレーションや、農家が働きやすくするためのインフラ整備についても話がありました。


~ 冬の雇用問題を解決した焼酎 ~

 2人目は、福島県只見町の株式会社ねっかの代表社員である脇坂斉弘さんが「酒造りを通じた豪雪地帯の雇用問題への挑戦」をテーマにトーク。ねっかは、役員全員が酒米とトマトの生産者で、只見町産の米を100パーセント使用した米焼酎「ねっか」の生産を中心に事業を行っています。脇坂さんは、只見町は大学や専門学校、公共交通などがない不便な町であり、機械も人も高齢化が進み、新規就農ものぞめない地域だと話します。特に課題となるのが冬期に雇用がないこと。豪雪地帯である福島県ならではの悩みかもしれません。

 

 ねっかでは冬にのみ焼酎を生産することで、1年を通して雇用を生み出そうとしています。実際、2人がUターン就職をしたそうです。試食として大野農園と、「ねっか」の生産者による果物を使ったジャムのコッペパン3種に「ねっか」3種がふるまわれ、参加者は味わいながらトークを楽しみました。


~ 消費者として農業にどう関われるか ~


 ワークショップのテーマは「農業において今後どのような働き方があるか?」。グループごとに「地域での新しい働き方」もしくは「農業との新たな関わり方、異業種連携した取り組み」についてアイデアを出し合いました。「地域での新しい働き方」を議題にしたグループは、「持続可能な農業のために女性を引きこむ」「そのためにプロモーションして地域に人を呼ぶ」などのアイデアを発表。「農業との新たな関わり方、異業種連携した取り組み」を議題にしたグループは「ハラール、ベジタリアン向けのメニューを開発する」「シェフに規格外の農産物を使ってもらう」「漁業、林業と連携する」「畑にソーラーパネルを置いて電力会社と協業する」「スポーツメーカーと組んで田んぼでエクササイズする」などのアイデアを発表しました。


 大野さんは「ぜひ福島に来て深いところまで見て、当事者が気づかないところを教えてほしい。皆さんも何か持って帰っていただければ」と、脇坂さんも「もっと関係人口を増やしていきたい」とコメントしました。

 

 もちろん「消費」すること自体も、農業や生産者と関わりを持つひとつの方法です。しかし、持続可能な農業を実現するためにも、まだまだ新しい関わり方がありそうです。


テキスト:泉友果子