[vol.6] 地域と目指すクラフトビールを通じた地域活性化への挑戦 - 国産ホップの生産を核とする循環型社会の創造-

 ここ数年でクラフトビールの第3次ブームが注目を集めています。第3次ブームの特徴として挙げられているのは、「ビールが美味しいことが前提で、プラス何らかの強い個性が求められている」ということ。そこで、東北でホップ栽培からビール産業に携わり、「地域循環」をキーワードに活動されているお二人をお迎えして、ビールで地域を活性化する方法を考えました。


~ ホップ栽培から1杯のビールまで ~

 インプットトークでは、まず株式会社ホップジャパンの本間誠さんが登壇しました。ホップジャパンは福島県田村市で日本のクラフトビール文化の向上を目的に、同地で生産するホップの販売や、そのホップを使用したビール醸造などを行っています。念頭に置いているのは「循環型」であること。1次産業であるホップ栽培、2次産業のビール醸造、3次産業としてのビール提供までを繋ぎ、6次産業も手がけることで産業を循環させるなど、持続可能な循環社会を目指しています。本間氏は「これ(1次から6次産業までを1か所で担えること)は地方だからこその特徴だ」と話しました。現在は町の象徴となるようなブルワリーの開業準備をしており、こちらのオープンも楽しみです。

 

 

 株式会社ホップジャパン>>

 

 

 


~ ソーシャルファームとして地域を循環させる ~

 2人目の登壇者は、一般社団法人イシノマキ・ファームの高橋由佳さん。イシノマキ・ファームは宮城県石巻市の農場でホップの栽培を行い、石巻市で初となるクラフトビールを発売しました。「地域の力を活かし共生できる社会を生み出す」ことを目指し、様々な立場の人々が一緒に関われるような「ソーシャルファーム」というコンセプトで活動しています。ホップの栽培は本間氏の声かけがきっかけで始め、地域の住民を巻き込んで栽培からビールの販売まで進めてきたといいます。今後も新規就農者を応援したり、6次化の商品開発を考えたりすることで地域の循環について考えたいと話しました。

 

一般社団法人イシノマキ・ファーム>>

 

 


 それぞれから1種類ずつビールが提供され、参加者は試飲を楽しみながらインプットトークを聞きました。左はホップジャパンのセッションIPAで、苦みを抑えた爽やかな飲み口。右は石巻の「巻」を名前に冠したイシノマキ・ファームのペールエールの巻風エールで、コクと苦みのバランスがとれた1杯です。どちらも爽やかながら深みのあるホップの香りが印象的でした。



 ワークショップでは「国産ホップやクラフトビールの可能性を探る」をテーマに、「東北を活性化するアイデア」と「身近にできること」を話し合いました。あるグループは、古民家に宿泊し、さまざまなビール体験をすることを提案。お風呂にホップシャンプーがあったり、ビアヨガをしたり、ビールを飲みながらビールについているQRコードを読み込んで音楽を聴いたりといった、ビールと何かを掛け合わせたアクティビティを体験するというものです。

 

 ほかに「イベント用にオリジナルビールをつくってもらう」「ホップの違いによるビールの飲み比べイベントをする」「クラフトビールのノンアルコールビールをつくってターゲット層を広げる」「ホップを使ったカクテルをつくる」「自分でつくったビールを飲めるようにする」「日本のホップを特徴としたビールを世界に売り込む」といったアイデアが発表されました。

 

 会場には普段からビールを楽しんでいる参加者が集まり、さまざまなユニークなアイデアが共有されました。多くの人にとって身近なものであるビールですが、クラフトビールだからこそ、東北だからこそできる新たな取り組みや、他地域にいながら関われることがまだまだありそうです。


テキスト:泉友果子