[vol.8] 現金主義の港町・塩竈が挑む!キャッシュレス地域通貨「竈コイン」

~ 地域経済・観光の活性化に繋がるか?キャッシュレス地域通貨の導入~

 政府によるキャッシュレス決済の推進に伴い、スマートフォンアプリや交通系ICカード等による電子決済が徐々に浸透しつつある中、東日本大震災によって大きな被害を受け、今もなお震災復興が進められている宮城県・塩竃市では、2019年3月より『竃(がま)コイン』と呼ばれる電子地域通貨の実証実験が開始されました。古くから漁港の街としての歴史がある塩竃市では、現金での決済が主流。その塩竃市で竃コインの導入に至った背景の紹介から、実証実験によって得られた成果や今後の課題についてなどを、塩竈市産業環境部観光交流課の吉岡一浩さん、株式会社ジェイアール東日本企画 仙台支店の櫻井修さんをお迎えし、株式会社インアウトバウンド仙台・松島代表の西谷雷佐さんによる進行のもと、参加者を交えながらの意見交換会を兼ねたワークショップが行われました。


~ 塩竈市って、どんな街??? ~

 インプットトークでは、まず塩竃市役所産業環境部観光交流課より、課長の吉岡さんが登壇。宮城県・塩竃市は海に面する街であり、古くから塩作りの産地であったこと、また水産業が盛んであり、新鮮な魚介を活かした寿司店が多いほか、海産加工品の名物も多くあることなどを紹介。東日本大震災による被害や現在までの復興状況などを、グラフや区画図といった資料とともに解説いただきました。吉岡さんは、竃コインを普及させることによって、観光客の集客と地域消費額の増加に繋げたいと述べました。

 

竃コイン>>

 


~ キャッシュレス地域通貨『竈コイン』実証実験の取組について ~

 2人目の登壇者は、株式会社ジェイアール東日本企画 仙台支店の櫻井さん。櫻井さんからは、竃コインのシステムほか、ユーザー側・加盟店側のそれぞれのメリットデメリットについての解説が。実際にチャージ機の現物を使用し、チャージ方法のデモンストレーションも行われました。2019年7月に開催された塩竃みなとまつりでの竃コインの導入実例を紹介し、電子地域通貨は地域イベントとの親和性が高いことを述べました。

 


 2人のインプットトークの後、司会進行の西谷さんも交えたパネルディスカッション。参加者による質問タイムも設けられました。


~ 『竈コイン』を使って、もっと塩竈の地域経済を活性化するには? ~


 テーブルダイアログでは、テーブルごとにグループを組み「『竈コイン』を使って、もっと塩竈の地域経済を活性化するには?」というテーマに沿って、ユーザー視点・実店舗視点、双方からのアイデアを出し合いました。あるチームからは、現地の限られた店舗でしか竃コインを使用できないというデメリットに対し、「百貨店などで開催される物産展で、塩竃市の名産品を竃コインで購入できる仕組みを取り入れれば、プロモーションも兼ねることができていいのでは?」といった案も。一般的なキャッシュレスアプリと比べた際の不便さを改善すべきといった意見が多い中で、竃コインにしかない特性を活かしたいというアイデアも発表されました。


 吉岡さんは「地元住民と観光客を繋ぐツールとしても竃コインを活用したい」と、櫻井さんは「地域通貨ならではの使いづらさをメリットにしたい。ゆくゆくは竃コインを使うために塩竃に訪れる旅行者を増やしたい」とコメントしました。

 

 地域とキャッシュレスアプリを結び付けるという新たな試みに、参加者の方々から多角的な意見が交換されていた今回のワークショップ。竃コインの特徴のひとつとして挙げられるのが、キャッシュレス支払いに際して発生する手数料収益の一部が、地元の観光振興に再投資されるという点。「自分たちが暮らす街をもっと活性化させたい」という思いのもとで運用されている竃コインの取り組みに対し、今後のさらなる普及が期待されます。


テキスト:竹島絵美子